偽りのトリアーダ〜義兄弟の狂愛からは逃げられない〜
 なんとか震えだけでも止めようと拳を強く噛む。
 血が滲み出てきたが、こんな痛みはどうと言うことはない。
 すると、リアがその手をそっと取り、傷口に触れないようにキスをしてきた。

「お兄様、無理はしないでください。私は、このままでも充分幸せです。それに……」

 まるで今までの仕返しをするように、口付けの音だけが部屋に響く。
 リアから触れられる分には大丈夫だなんて、思ってもみなかった。
 口付けしながら、寝間着のボタンを外される。
 こんなに積極的になるとは、以前のリアからは考えられない。

「だって、お兄様が私に触れられないなら、私が触れるしかないでしょう……?」

 愛らしい顔をして、なかなかに妖艶な笑みを見せる。

「それは、そうだが……」
「お兄様に拒否権はありません」

 言いながら、リアは俺の上に跨ってきた。

「な、何を……?」
「形勢逆転、です。覚悟してくださいね♪」

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