偽りのトリアーダ〜義兄弟の狂愛からは逃げられない〜

26・再始動 sideリア

 家に戻ってきてから数日後、私は大学へ再び通う事になった。
 あの事件の後、お兄様が休学届を出してくれていたらしい。
 数ヶ月ぶりのキャンパス。
 ドキドキしながら学舎へ向かうと、ジェシーとモニカが出迎えてくれた。

「リアーっ」
「ジェシー! モニカ!」
「心配してたのよー! ずっと大学休んでたからー!」
「ごめんね、心配かけて。今日からまた、よろしくね」

 三人で輪になって抱き締め合った。

「あの、リア……。訊いていいかどうかわからないけど……」
「テオドール君の事……」

 二人は、あの事件をネットニュースで知ったらしい。
 そのすぐ後に、刑事さんが聞き込みに大学まで来たそうだ。
 どこまで知られているのだろうかと、心臓が大きく跳ね上がった。
 私の名前は、公表されていないはず……。

「……テオはね、今入院してるの」

 今の事実だけを伝えた。

「そうなんだ……」
「きっと、良くなって退院できるって、私は信じてる」
「そう……そうだよね……!」

 深く詮索しない事に、安堵のため息を漏らす。
 彼女たちが友人である事を嬉しく思った。

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