偽りのトリアーダ〜義兄弟の狂愛からは逃げられない〜
「じゃあ、今日こそリアの快気祝いに……」
「パンケーキ!」
「えっと……」

 少し離れていたお兄様に向かって、お願いするように目を向ける。

「お兄様……?」

 『行ってもいいですよね?』と、心で訴えた。

「ああ、行っておいで」

 あの時とは違う穏やかな表情。
 きっとこの違いは、私にしかわからない。

「きゃあー、やったー!」
「何ヶ月越しよ、もうー!」

「君たち。リアをよろしく頼むよ」

「……ハイッ!」

 彼女たちの心が、またキュンと鳴った気がする。
 お兄様のその笑顔も、きっと二人にはあの時と変わらないままで映っているだろう。

 それでいいのだ。
 世の中には、知らなくてもいい事、知らない方がいい事がある。
 彼女たちには、いつまでも“イケメンの義兄”だと思っていてもらいたい。

 
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