偽りのトリアーダ〜義兄弟の狂愛からは逃げられない〜

4・逃亡 sideリア*

 次の週末──
 今日も講義の終わった後、ジェシーとモニカと一緒に構内を歩いていた。

「ねえ、今日こそ三人でパンケーキ行かない?」
「そうね。この間、食べ損ねちゃったし」
「あー、ごめん! 今日は、家に義弟(おとうと)が来る予定で……」

 先週、私が寂しがってしまったからか、テオがもう一度来る予定になっていた。
 あのキスのことがあってちょっと気まずいけれど、義兄を相手にしなくていいかもしれない分は心が軽かった。

義弟(おとうと)!?」

 二人が、声を揃えて驚いた。
 あ、あれ? 二人にテオの事は……話してなかったかな。

「リア、あんたあんなイケメンのお兄様がいるのに、弟までいるの!?」
「う、うん……」
「ねえ、やっぱり弟くんもイケメンなの!?」

 二人の食いつきがすごい!
 
「い、いやぁ、どうかな〜。たしかに、お兄様に似ている気はするけど……」

 私は、義兄やテオをイケメンとか、そういう目で見たことがなかった。だから、昔初めて学友に言われた時は驚いたけど……。やっぱりあの二人って、イケメンなんだ。きっと、私の知らないところですごくモテているに違いない。でも、浮いた話はまったく聞いたことがないな……。

「そりゃ、絶対イケメンだ!」
「あんた、どれだけ恵まれてるのよ!?」

 そんな話をしていると……。

「姉さーーん!」

 遠くから、テオが笑顔で手を振った。

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