偽りのトリアーダ〜義兄弟の狂愛からは逃げられない〜
 二人は慌てて車に乗り込む。ヘイロ岬までは、数十分の距離だ。
 道中で、カルステンからアルフレッドへ連絡を入れてもらった。その後、もう一件どこかへ連絡をしているようだった。


 ポポロムとカルステンが現場に到着する。丁度夜が明けて空の色が幻想的だった。海風がひんやりとして、ブルっと身を震わせる。
 少し遅れてリアとアルフレッド、そして警察官のディルクがやって来た。カルステンが連絡をしていたのはディルクだったようだ。

「ったく、なんで俺まで……」
「一市民の命かかってんだ。文句言うな」

 ディルクとカルステンが言い合っているが、それどころではなかった。

 リアは助手席から飛び出して、真っ先に岬の方へ駆け出した。
 その方向にはテオの姿。テオは、海の向こうを見つめていた。
 こんな時でなければ、朝日が美しい場所だ。

「テオッ!」

 リアが叫ぶと、テオはゆっくりとこちらを向いた。
 そして、いつものような笑顔を浮かべる。

「良かった。みんな、来てくれたんだ」

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