偽りのトリアーダ〜義兄弟の狂愛からは逃げられない〜
 リアもアルフレッドも、心配そうにテオを見る。
 ここがどういう場所か、全員わかっているからだ。
 テオは微妙な位置に立っている。
 最悪の事態だけは避けたいところだった。
 
「テオさん、病院に戻りましょう」
「ふふっ。言われて、素直に戻ると思う?」
「思いませんね」

 ポポロムは極力穏やかに接したが、さらりと躱された。
 監視の目を掻い潜って病院を抜け出したくらいである。
 何かよほど強い思いがあってここに来たに違いない。

 今まで大人しくしていたのに、急にこのような行動に出るなんて。
 ……いや、もしかしたら、彼の中では急な事ではなかったのかもしれない。
 ポポロムは医者として、テオを導く義務がある。
 そう言うと、テオはいつもの笑顔を崩した。

「ねぇ、じゃあさ。なんで俺は、こんなところにいるの?」
「え……?」

 
< 196 / 252 >

この作品をシェア

pagetop