偽りのトリアーダ〜義兄弟の狂愛からは逃げられない〜
「テオ、どうしたの!?」

「ちょっと早く着きそうだったから、ついでに迎えに来たんだ。
 車で来たから──あっ、姉さんのお友達ですか!?」

 テオが、ジェシーとモニカの姿に気がつき、にっこりと笑った。

「俺、テオドールって言います! 姉が、いつもお世話になっています!」

 と、いつもの調子で挨拶すると……。

 二人の心が、キュンと鳴った気がする。
 確かに、テオの笑顔は太陽で、子犬のような愛らしさがある。
 天然人たらしなんだよねぇ……お兄様とは真逆で。

「テオドール君、もし良かったら、みんなでパンケーキ食べに行かない?」
「あっ、それいいね。テオドール君から見たリアの話とか聞きたい!」

 ちょっ……それは恥ずかしい!
 テオから見た私って……どんななの!? 気にはなるけど!

「ごめんなさい。今日は兄弟で過ごすことになってて。兄さんも、もうすぐ帰ってくるから」
「うん、そうなの……。だから、本当〜にごめん!」

「くぅ〜っ! リアとパンケーキに行ける日は来るのか……!?」

「すみません。来週は予定ないと思うので……。その時にまた姉さんを誘ってあげてください」

 テオが笑顔を向けると、再び“キュン“と、二人の心の音が鳴った気がした。

「そうかぁ〜。仕方ないわね」
「じゃあ、またね。リア」

 ジェシーとモニカは、行ってしまった。

「じゃあ、行こうか。テオ」
< 20 / 252 >

この作品をシェア

pagetop