偽りのトリアーダ〜義兄弟の狂愛からは逃げられない〜
「ねぇねぇ、どこまで行くの?」

「なんていうところ?」

「母さんは、父さんと行ったの?」

「景色が綺麗なんでしょ?」

「楽しみだなぁ」

 二人で手を繋いで、駅への近道である長い階段を降りていく。
 テオは嬉しさのあまり、矢継ぎ早にレナーテに話しかけた。
 しかし、レナーテは途中で止まってしまい、苦しそうな表情をテオに向けた。

「母さん……?」
「ヘイロ岬まで行こうと思ってたけど、もう、限界……」

 ガッ!
 レナーテはそう言って、テオの首に自分の両手をかけた。
 ほろほろと涙を流しながら、少しずつその手に力を入れていく。

 
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