偽りのトリアーダ〜義兄弟の狂愛からは逃げられない〜
 テオが呼び止め、視線の先にいたのは──カルステンだった。

「叔父様……!?」

 リアとアルフレッドは青ざめた。
 なぜ、テオがカルステンを“お父さん”と呼んだのか。
 行く末を見守っていると、カルステンはひとつため息をついてようやく口を開いた。

「おまえなぁ、約束が違うぞ」
「約束は破ってないよ。“父さん”には言ってないもんね」

 テオは落ち着いたのか、再び貼り付けたような笑顔に戻っている。
 聞きたいことはたくさんあるのに、誰もが言葉を失っていた。
 ちょうど間にいたポポロムが、我に返ったように言った。

「どういう事ですか、叔父さん!!」

 問われて、カルステンは気だるそうに頭を掻きながら口を開く。

「どうもこうもねぇよ。テオドールは、正真正銘俺の息子だ」

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