偽りのトリアーダ〜義兄弟の狂愛からは逃げられない〜
 ──何故。
 レナーテは体を震わせながら考えたが、カルステンがこのような暴挙に出た理由がわからなかった。

「ひどい……昔はそんな素振り、一度も見せなかったくせに……!」

 同じ研究室にいた頃から、カルステンは女性に人気があった。
 それは、レナーテも例外ではなかった。
 しかしカルステンは、どんな女性とも正式に付き合ったことがない。

 ある日、カルステンからハイスクール時代の先輩であるダニエルを紹介された。
 ダニエルとレナーテが恋人同士、そして夫婦になるのには、それほど時間はかからなかった。

 だがカルステンはその時に気づいてしまった。
 自分は、他人という存在をフィルターとして通し人を好きになるのだ、と。
 つまり、人の恋人を好きになってしまうのだ。

「そりゃそうさ。俺はな……」

──おまえが、ダニエルのものになるのを待っていたんだよ──

 そう囁かれ、レナーテは絶望の中カルステンに精を注ぎ込まれた。


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