偽りのトリアーダ〜義兄弟の狂愛からは逃げられない〜



 レナーテは何事もなかったかのように振る舞い、家に帰ってきた。
 体の中で自分の醜い部分が、ずっと蠢いているようで気分が悪い。
 夫であるダニエルには黙っておこうと決めた。
 自分さえ黙っていれば何も壊れることはないと。

 しかし、この体内に入ってしまったものだけは、なんとかしなければならない。

「ねぇ、ダニエル……」

 家に帰ってきた翌日の夜、レナーテはベッドの上でダニエルを誘った。

「ん?」
「私……もう1人子どもがほしいわ……」
「えぇ? リアもいるのに、大変じゃないか?」
「いいの。私……子どもが好きだから──」

 レナーテは心を殺し、笑顔でダニエルに口付けた。
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