偽りのトリアーダ〜義兄弟の狂愛からは逃げられない〜

31・母親*

 十月十日が過ぎて、男の子が産まれた。
 レナーテはダニエルと話し合い、テオドールと名付けた。

(……かわいい)

 経緯はどうあれ、自分から産まれたこの子をかわいいと思わない日はなかった。
 しかし、テオドールが大きくなるにつれて、だんだん違和感が膨れ上がってくる。
 レナーテは、ついにテオドールを叱った。

「テオドール! なんであんたはそう、アルフレッドのものばかり欲しがるの!!」
「だってぇ……。兄さんが好きなもの、僕も好きになっちゃうんだもの……」

 自分の息子にそう言われて、レナーテはカルステンとの夜のことを思い出す。

『俺はな……。おまえが、ダニエルのものになるのを待っていたんだよ────』

──う、そ……。
 う そ で し ょ ?

 
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