偽りのトリアーダ〜義兄弟の狂愛からは逃げられない〜



「テオドールのDNA鑑定をお願い」

 レナーテは、(ダニエル)に内緒でテオドールを連れてカルステン宅を訪れた。
 話を聞かれないように廊下で待たせて、まずカルステンに説明した。

「それはいいが……知ってどうする? 俺は、認知なんぞできんぞ」
「安心して。そんな事、死んでも頼まないわ」
「じゃあ、どうして……」
「あなたと同じなのよ、あの子……。アルフレッドのものばかり欲しがるの、あの子!!」

 テオドールはどちらかというと自分に似ていたため、見た目だけではどちらの子がわからない。
 自分とダニエルの子だと信じたかった。
 しかし、どちらかわからずに心にモヤモヤを抱えるのも辛かった。

「はっきりさせたいの。私が、はっきりさせたいだけなの……」

 レナーテはこぼれそうになった涙を堪え、テオドールを部屋に呼ぶ。
 テオドールの口腔内の組織を綿棒で採取し、その日はすぐに家に帰った。


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