偽りのトリアーダ〜義兄弟の狂愛からは逃げられない〜
 数週間後、レナーテは一人でカルステンを訪ねた。
 結果を誰にも知られるわけにはいかなかったからだ。

「DNA鑑定の結果が出た。テオドールは……俺の子だ」

(ああ……やっぱり……)

 なんとなく予想はしていた。
 あの夜のことを後悔したが、今更あのことを蒸し返す気はない。
 それにレナーテは今の家庭を壊す気はなかった。

「この事、ダニエルには……」

「言えるわけないでしょ!! 言ったら、あなただって何をされるか……! 誰にも話さない……。あなたも、私も、墓場まで持って行くのよ……」

 レナーテとカルステンは、お互い黙っていると約束した。
 しかし、年月が経つにつれレナーテの心は疲弊していく。

 
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