偽りのトリアーダ〜義兄弟の狂愛からは逃げられない〜
「か……あ……さ……」
「このままじゃ、あの子達が不幸になる……。私も後を追うから……一緒に……」
「ぐ……」

 青くなっていくテオドールの顔を見て、レナーテの心が揺らいだ。

(ああ……やっぱりダメ……! 私には、テオドールを手にかける事なんてできない……!)

 フッと、レナーテの手が一瞬だけ緩んだ。
 その隙に、無我夢中で抵抗したテオドールの手が、レナーテの胸の辺りを押した。

「やめて、母さん……!」

「あっ……」

 テオに押され、レナーテは体勢を崩して宙に浮いた。
 バチが当たった、と思った。
 ゆっくりとテオドールの姿が遠ざかっていく。

 数秒の後、痛みと共に鈍い音がした。

 レナーテが最期に見たのは、冴渡る青空だった。

 
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