偽りのトリアーダ〜義兄弟の狂愛からは逃げられない〜
 関係がバレた事ではないと、ひとまず安堵する。
 しかし、理由はどうあれ母親が亡くなった直後である。
 警察の尋問のようになってはいけない、とカルステンは短く息を吐いて気合を入れた。

「こんにちは」
「こんにちは」

 テオドールだけを診察室に入れて、挨拶してみる。
 実際に会うのは二回目だが、前回DNA鑑定の時のような緊張は感じられない。
 変わらず、レナーテに似てにこやかで素直そうな少年だ。

「自分の名前、言ってみてくれる?」
「テオドールだよ」
「最近、自分で不思議だなーと思う事はない?」
「……うーん、特にないけど」

 少し他愛のない話をしてみても、特におかしな所はなさそうだった。

(うん……二重人格、というわけでもなさそうだな)

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