偽りのトリアーダ〜義兄弟の狂愛からは逃げられない〜
言動に矛盾も感じられない。
もう少し詳しく診るには特殊なテストが必要だが、父親であるダニエルに許可を取ろうか……と思った時、テオドールが信じられない言葉を吐いた。
「ねえ、こんな診察、意味ないんじゃない?」
「え……?」
「あの時の事をほじくり返して、僕の心の傷を抉るつもり?」
(なん、だ……? この子……。本当に12歳の少年か……!?)
テオドールの心の底が見えなかった。
そもそも、母親が亡くなった直後だというのに悲しむ様子も恐れている様子もない。
笑顔の裏に、ドス黒い何かを感じる。
このまま接し続けていると、まるでブラックホールに飲まれるかのような感覚に襲われた。
「こんなのつまんないから、適当に診断名つけて父さんに言っておいてよ」
「……は? そうはいかない。俺は医者として────」
言い終わる前に、テオドールが椅子から立ち上がり、カルステンの耳元で囁く。
「だって、バラされたくないでしょ────お父さん?」
悪魔の囁きに、カルステンはそれ以上言葉を発せなかった。
もう少し詳しく診るには特殊なテストが必要だが、父親であるダニエルに許可を取ろうか……と思った時、テオドールが信じられない言葉を吐いた。
「ねえ、こんな診察、意味ないんじゃない?」
「え……?」
「あの時の事をほじくり返して、僕の心の傷を抉るつもり?」
(なん、だ……? この子……。本当に12歳の少年か……!?)
テオドールの心の底が見えなかった。
そもそも、母親が亡くなった直後だというのに悲しむ様子も恐れている様子もない。
笑顔の裏に、ドス黒い何かを感じる。
このまま接し続けていると、まるでブラックホールに飲まれるかのような感覚に襲われた。
「こんなのつまんないから、適当に診断名つけて父さんに言っておいてよ」
「……は? そうはいかない。俺は医者として────」
言い終わる前に、テオドールが椅子から立ち上がり、カルステンの耳元で囁く。
「だって、バラされたくないでしょ────お父さん?」
悪魔の囁きに、カルステンはそれ以上言葉を発せなかった。