偽りのトリアーダ〜義兄弟の狂愛からは逃げられない〜
終章 希望の光

33・希望への道 sideリア


 教会の鐘の音が鳴る。
 赤いカーペットのヴァージンロードを独りで歩く。
 いえ、正確には、後ろにドレスの裾を持ってくれているベールガールがいるのだけれど。

 隣を歩いてくれるはずのお父様はもういない。叔父様に頼んでみたのだけれど、断られた。
 披露宴の招待状にも「欠席」の文字があったけれど、隅の方にお祝いの言葉と、「少しだけ参列します」と書かれていた。今は姿が見えないけれど、きっと来てくれると信じている。
 お父様の代わりに、私の花嫁姿を見てほしい。

 神父様の前に、新郎であるお兄様の姿。
 いつか見た結婚式の白いタキシードを、お兄様が身に纏っている。
 ステンドグラスから陽の光が差して、より一層輝かせていた。
 夢にまで見たこの光景を、私は一生忘れないだろう。
 隣まであと数歩といったところで、お兄様は手を差し出してくれた。

「リア……」

「おに……」

 言いかけて、ハタと気がつく。
 もう『お兄様』じゃないんだった……!!

「ァ……アルフレッドさん……」

 うう、全然言い慣れない……。
 
 今日は、私たちの結婚式。
 神父様の言葉の後に誓いのキス──そして、みんなの祝福に包まれて。

 私たちは夫婦になった。

 ここまで来るのに、実はこんな事がありました──。

 

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