偽りのトリアーダ〜義兄弟の狂愛からは逃げられない〜
 ブライダルプランナーという職業は、特に差別緩和が顕著に表れていた。
 ゴンドル族の人口は再び増えつつある。自由に結婚ができるようになった今、人間が、ゴンドル族が、などと言っている時ではないのだ。そういう社内方針なので、私も安心して働くことができた。

 そろそろ入社して半年。
 私はいつものようにチーフプランナーと共に昼食をとっていた。
 
「リアさん、仕事にはもう慣れた?」
「はい、まだまだ勉強中ですが……」

 チーフは私の直属の上司で、入社当初からよくしてもらっている。
 美人でクールな立ち振る舞い。仕事ができる女性は、とても憧れで尊敬できる。

「あなたがここに来てくれたおかげで、少しずつゴンドル族のカップルが増えてきているのよ」
「それは嬉しいです」

 種族の壁を取り払えるような、
 この結婚式場が少しでも心安らげる思い出の場所になってくれたら。
 そんな気持ちで、私はプランナーをやっている。

「それでね、リアさん。あなたに相談があるのだけれど」

 私はキョトンとしながら、チーフの言葉を昼食のヌードルと共に飲み込んだ。

 
< 237 / 252 >

この作品をシェア

pagetop