偽りのトリアーダ〜義兄弟の狂愛からは逃げられない〜


 
「モデルウェディング!?」

 家に帰ってお兄様に説明すると、昼休みの時の私と同じ反応をした。

「はい、どうでしょうか?」
「俺は構わないが……」
「では、OKなんですね!?」

 求婚されたわけでもないのに、私は気が(はや)ってしまってお兄様の困惑に気づかないでいた。
 お嫁さんになるのは私の夢のひとつだった。それが形だけでも叶うと思うと、どうしても喜ばずにはいられなかったのだ。

「いや……。リア、よく考えたのか?」

「え?」

「宣伝に使われるという事は、それだけ公の場に出るという事だ。ゴンドル族のおまえが。差別緩和されたといっても、周囲の心がそう簡単に変わるわけではない。妬み、恨み、憎悪……少なからずとも、そういった反応がおまえに向けられる。……それでもおまえは、モデルを引き受けるのか?」

 それを聞いて、さすがに私も考えないわけにはいかなかった。
 お兄様の言うとおりだ。安易に引き受けるべきではないと。
 でも、それでも私は。

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