偽りのトリアーダ〜義兄弟の狂愛からは逃げられない〜
『リア、おまえはゴンドル族の希望の光になってくれ』

 幼い頃の、お父様の願い。
 その気持ちを、未来へ繋げたい。

「やります! ゴンドル族でも、こんなに輝けるんだって……。私、ゴンドル族の希望になります!」

 お父様が言っていたからではない。
 私がそうしたいのだ。
 お兄様も驚いた顔をして、次の瞬間には納得してくれたようだ。

「リア……今のおまえなら大丈夫そうだ。ぜひ、その話お受けしよう」

 お兄様は穏やかな表情でそう言うと、懐から小さな箱を取り出し開けてみせた。
 そこには、銀色に輝く指輪が入っていた。

「……えっ?」
「実は、いつ()おうか迷っていた……」

 お兄様は箱から指輪を取り出すと、私の薬指にはめてくれた。
 そして、そのまま手の甲に口付ける。

「リア、生涯おまえと共に歩むと誓おう……」
「お兄様……!」

 ずっと準備してくれていたなんて。
 嬉しさのあまりお兄様の胸に飛び込んだ。
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