偽りのトリアーダ〜義兄弟の狂愛からは逃げられない〜
 その時、テオがポケットから小さな銀色の鍵を取り出し、
 イタズラっぽく笑って、それを振りかざす。

「カギなら、俺が持ってるけど──?」

 い、いつの間にーー!?

「テオ! それを渡せ!」
「えー。やだ⭐︎」
「やだって……!」
「今日は、兄さんと姉さんと寝るんだもん」
「テオ……」

 テオの様子を見て、私は情が湧いてしまった。
 数年ぶりに帰ってきて、しかも今日一日だけなのだ。
 明日の昼には、テオは病院へ行ってしまう。

「お兄様、今日だけです。テオと一緒に寝てあげましょう」
「おまえは……。なんで、そんなにテオに甘いんだ……」

 お兄様の言いたい事はわかります。
 私は、危機管理が足りないのですよね。
 
「そう言うと思ったから、姉さんと手錠をかけたの。心配なら、兄さんも一緒に寝ればいいでしょ? 俺、3人並んで寝たいなー♪」

 ああもう、私はテオのこの笑顔に弱いのだ。


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