偽りのトリアーダ〜義兄弟の狂愛からは逃げられない〜
母は、その頃からテオへの態度が少しよそよそしくなった。
会話をするのは、俺やリアとばかり──
その光景が、テオにどう映ったかはわからない。
だが、テオが12になった頃、事件は起きた。
母が、階段から落ちて亡くなったのだ。
テオと、出かけている時の出来事だった。
うちは小高い丘の上の住宅街に家があり、駅への近道に長い階段がある。
母とテオは、そこを通ってどこかへ出かける途中だったらしい。
俺は、その時大学から帰る途中で、偶然にも見てしまった。
テオが、母の背中を押したことを──
そして、俺の方を見て言った。
「ごめんね、兄さん……」天使のような笑顔で──
「壊れちゃった」
そう、言ったのだ。
会話をするのは、俺やリアとばかり──
その光景が、テオにどう映ったかはわからない。
だが、テオが12になった頃、事件は起きた。
母が、階段から落ちて亡くなったのだ。
テオと、出かけている時の出来事だった。
うちは小高い丘の上の住宅街に家があり、駅への近道に長い階段がある。
母とテオは、そこを通ってどこかへ出かける途中だったらしい。
俺は、その時大学から帰る途中で、偶然にも見てしまった。
テオが、母の背中を押したことを──
そして、俺の方を見て言った。
「ごめんね、兄さん……」天使のような笑顔で──
「壊れちゃった」
そう、言ったのだ。