偽りのトリアーダ〜義兄弟の狂愛からは逃げられない〜

6.5・虚無 sideリア

 お兄様……ごめんなさい……
 私は、お兄様の言うことを聞けませんでした。


「……リア。今度、テオが来るそうだな」

 テオが来る数日前、義兄が言った。
 これは、夢……?
 リビングで、義兄と私が向かい合っている。

「はい。今から楽しみです」

「テオのことだが……おかしな素振りを見せたら、すぐ俺に言うんだ」

「おかしな素振り?」

「その……。おまえに危害を加えるようなことがあれば……」

 今思えば、義兄はいつもと少し様子が違った気がする。

「テオが……?」

 私は、それを聞いてキョトンと目を開いた。

「テオがそんなことするはずありません」

 そう、私はテオを小さい頃から可愛がってきて、テオのことをよく知っている。
 家族として、愛情を持って接してきた。

「……母さんが、亡くなった時のことを覚えているか?」

「はい。たしか、事故だと……」

 テオと出かけた時に、階段から落ちて亡くなったと聞いている。

「テオが、関与していると言ったら?」

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