偽りのトリアーダ〜義兄弟の狂愛からは逃げられない〜
 義兄がまさかの発言をし、私は絶句した。
 関与している、それは義母を……
 考えただけで恐ろしかった。

「うそです」

 私は迷わず否定した。
 テオがそんなことをするなど、信じられなかった。

「うそではない。証拠がなかったから、事故として処理をされただけだ」

「うそですっ! お兄様は、私のことが憎いからといって、テオとの仲まで引き裂こうとしているのですかっ!?」

「……!」

 そうだ、義兄は私を憎んでいる。だからテオと仲良くするのが気に入らないのだ。
 私を蔑むためにテオを持ち出してくるなんて、到底許せることではなかった。
 義兄は、一瞬険しい顔をしたが、諦めたのかそれ以上何も言ってこなかった。

 だけど、事件は起こってしまった。
 もう、何がなんだかわからなかった。
 なぜ、テオがあのような行為をしたのか、私には理解できなかった。


 お兄様……。
 私は……テオを信じたかったんです……。

 信じて……いたんです……。

 ごめんなさい、お兄様……。

 私は、お兄様を責められません……。



 目を覚ますと、知らない天井があった。

 「……」

 なにも、考えられない……。

 なにも、考えたくない……。

 なみだも、出ない……。

 からっぽだ。

 誰か。

 誰か。

 誰か……。
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