偽りのトリアーダ〜義兄弟の狂愛からは逃げられない〜
 俺は、今までの事をすべて打ち明けた。
 家族でも、リアでもなく、第三者に。
 こんな事は、今まで誰にも話せなかった。
 第三者に自分を曝け出す事で、少し楽になった気がした。

「そうですか……辛かったですね……」

 ポポロム先生は、黙って話を聞いていてくれた。
 彼は、総合診療医師だが、ほぼメインは心療内科医らしい。
 とても柔らかな口調で、決してこちらを否定したりはしなかった。

「今のお話を聞いてわかりました。アルフレッドさん。僕は、あなたの心の方も心配です。リアさんは、ふとしたきっかけで良くなると思うのですが、あなたの方は、幼少期から根付いている。この場合、よくなるまでに非常に時間がかかるんです。あなたの心も、少しずつ解きほぐしていきましょう」

「無理です、先生……。俺は、テオがいる限り……」
「テオさんは、警察に任せましょう。きっと捕まえてくれます」

 ポポロム先生は柔らかい笑顔で言ってくれたが、俺は素直に受け取ることができなかった。

「じゃあ、リアさん。何かあったら、 ナースコール押してくださいね」

 ポポロム先生が言っても、リアは無表情で黙ったままだった。





「アルフレッドさん、少々お話、よろしいですか?」

 廊下に出て自分の病室へ戻ろうとすると、事件担当の警察官が警察手帳を見せてこちらへやってきた。
 俺は、素直に事情聴取に応じたが、一応重症者扱いらしくポポロム先生も同席してくれることになった。
 病室で車椅子からベッドに移ると、警察官はディルクと名乗った。
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