偽りのトリアーダ〜義兄弟の狂愛からは逃げられない〜
「お父様、生きて、いらしたのですね……! まさか、先生の家にお世話になっていたなんて……!」
「お、おぉい、ポポロム! これ、どうすりゃいいんだ!?」
「と、とりあえず、ダニエルさんになりきって!」

 リアさんに気づかれないように、ものすごく小声とジェスチャーで指示を出した。
 こうなっては仕方がない。
 様子を見るために、一旦ダニエルさんのフリをしてもらうことにした。

『お、おおー、リア。元気にしてたかー?』

 素人の僕が聞いてもわかる棒読み具合だった。
 演技下手くそかっ!?

 しかし、叔父をダニエルさんと間違えたとはいえ……虚無になっていたリアさんの心が一気に快復した……!
 一体、なぜ……?

「リア、離れなさい。父さんが困っている」

 アルフさんも、こちらの事情に合わせてくれた。

「お兄様……。お父様は生きていました。これで私は、お兄様に恨まれる理由はなくなりましたよね?」

「……!」

 そうか……! リアさんにとって、1番問題だったのは、テオさんではなく……。
 アルフさんの方だったのか……!
 テオさんに乱暴されたことよりも、アルフさんに恨まれ傷つけられた方が、リアさんにとっては重大なことだったんだ。

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