偽りのトリアーダ〜義兄弟の狂愛からは逃げられない〜
「あら、おはよう〜。アルフレッドさんにリアちゃん」
「おはようございます」
「おはようございます……」
家を出ると、お隣の奥様がいつものように明るく挨拶してくれる。
義兄は、にこやかに挨拶を返す。
私も……懸命に笑顔を作って挨拶をする。
「いつも兄妹仲が良くていいわね〜。うちの子たちなんて、いつもケンカばかりで……」
お隣さんの、いつもの調子が始まった。
「ええ。リアは本当に良くできた妹で……」
これも、いつものテンプレート。
養父が亡くなる前は、これが義兄なのだと、普通だと思っていた。
けれども今は、体裁を取り繕っているだけのようにしか見えなくなってしまった。
ああ、本当にもう、外面だけはいいんだから……。
*
「じゃあな、リア。今日もまっすぐ帰ってくるんだぞ」
「はい、お兄様」
義兄が、大学の近くまで車で送ってくれたが、降りるなり釘を刺されてしまった。
でもこれくらいなら、波風立てずに素直に返事をしておいた方がいい。
私はしばらくその場に立ち尽くし、義兄の車を見送った。
……抗えない。
このまま逃げ出してしまいたいと、何度思ったことか。
でも。
ゴンドル族である私には、行く当てなどないのだ──。
お父様……。
なぜ、私を助けたのですか……?
私は、誰にも気づかれることなく涙を流した。
「おはようございます」
「おはようございます……」
家を出ると、お隣の奥様がいつものように明るく挨拶してくれる。
義兄は、にこやかに挨拶を返す。
私も……懸命に笑顔を作って挨拶をする。
「いつも兄妹仲が良くていいわね〜。うちの子たちなんて、いつもケンカばかりで……」
お隣さんの、いつもの調子が始まった。
「ええ。リアは本当に良くできた妹で……」
これも、いつものテンプレート。
養父が亡くなる前は、これが義兄なのだと、普通だと思っていた。
けれども今は、体裁を取り繕っているだけのようにしか見えなくなってしまった。
ああ、本当にもう、外面だけはいいんだから……。
*
「じゃあな、リア。今日もまっすぐ帰ってくるんだぞ」
「はい、お兄様」
義兄が、大学の近くまで車で送ってくれたが、降りるなり釘を刺されてしまった。
でもこれくらいなら、波風立てずに素直に返事をしておいた方がいい。
私はしばらくその場に立ち尽くし、義兄の車を見送った。
……抗えない。
このまま逃げ出してしまいたいと、何度思ったことか。
でも。
ゴンドル族である私には、行く当てなどないのだ──。
お父様……。
なぜ、私を助けたのですか……?
私は、誰にも気づかれることなく涙を流した。