偽りのトリアーダ〜義兄弟の狂愛からは逃げられない〜
***


「今日はありがとうございました」

 夜も遅くなり、アルフさんは家に帰ることになった。

「また時々、リアさんに会いに来てあげてください」

「どうしてお兄様だけ帰ってしまうの? 私とお父様は……?」

 リアさんは、寂しそうにアルフさんの腕を取ろうとする。
 が、アルフさんは自然にそれをかわした。

「俺は仕事があるし……」

「ほら、リアさん。あなたのお父様は、ここで療養中なので、いろいろとお世話を……」

「おおーい、俺はまだ介護が必要な年齢じゃないぞ!? 一応自分で歩けるし……グフっ!」

 小声で言ってきた叔父に、黙れとばかりに肘鉄を入れる。

「わかりました……」

 リアさんは、残念そうに返事をしたが、

「じゃあ、次はテオも呼びましょうね!」

 すぐ笑顔になってそう言った。
 これには、アルフさんも絶句するしかなかったようだ。

「……」

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