偽りのトリアーダ〜義兄弟の狂愛からは逃げられない〜
9.5・見つけた。 sideテオドール
あの時、警察に連絡されたせいで、さすがに堂々と外を歩けなくなった。
大学の寮にも実家にも、あの秘密基地にも警察が見張っていて戻れなくなったし、ニュースになってしまったので友人を頼るわけにもいかなかった。
しかし、メガネやカツラ、カラコンで変装すれば、意外とバレないものである。
数ヶ月経った頃、買い出しのためにあるショッピングモールを訪れた。
そこで見かけた赤毛の女性──。
見間違えるはずがない、姉さんだった。
姉さんは、知らない男の人と一階の食材売り場で買い物をしていた。
カートを押して、楽しそうに。
姉さんの隣にいる男は、同じドリンクを棚から3つ取った。
食材なら買い溜めするかもしれないが、ドリンクを3本という数は中途半端だ。
二人で暮らしているなら、買い溜めするにしても偶数にならなければおかしい。
来客ならもっと購入するはずだ。
誰か、もう一人一緒に暮らしている。
そう考えた方が妥当だろう。
それにしても、姉さん。
なんでそんなに楽しそうなの?
なぜその笑顔を向けるのが、兄さんじゃないの?
ダメじゃないか兄さん、姉さんをいじめちゃ。
兄さんと姉さんが想い合っててくれないとさ──
俺が、姉さんをあいせないじゃん……。
大学の寮にも実家にも、あの秘密基地にも警察が見張っていて戻れなくなったし、ニュースになってしまったので友人を頼るわけにもいかなかった。
しかし、メガネやカツラ、カラコンで変装すれば、意外とバレないものである。
数ヶ月経った頃、買い出しのためにあるショッピングモールを訪れた。
そこで見かけた赤毛の女性──。
見間違えるはずがない、姉さんだった。
姉さんは、知らない男の人と一階の食材売り場で買い物をしていた。
カートを押して、楽しそうに。
姉さんの隣にいる男は、同じドリンクを棚から3つ取った。
食材なら買い溜めするかもしれないが、ドリンクを3本という数は中途半端だ。
二人で暮らしているなら、買い溜めするにしても偶数にならなければおかしい。
来客ならもっと購入するはずだ。
誰か、もう一人一緒に暮らしている。
そう考えた方が妥当だろう。
それにしても、姉さん。
なんでそんなに楽しそうなの?
なぜその笑顔を向けるのが、兄さんじゃないの?
ダメじゃないか兄さん、姉さんをいじめちゃ。
兄さんと姉さんが想い合っててくれないとさ──
俺が、姉さんをあいせないじゃん……。