偽りのトリアーダ〜義兄弟の狂愛からは逃げられない〜

10・カルステンの1日(閑話)

 どうもみなさん、こんにちは。
 カルステンです。

 俺は元精神科医で、戦争時には軍医をしていた。
 ゴンドル族であるポポロムとは、その時に出会い、紆余曲折あって引き取った。
 それから20年ほど経っているわけだが、俺は戦争で足を悪くしたこともあり、ポポロムが医者になって現場に慣れてきた頃……現役を退くことにした。

 そして今は、自宅でカウンセリングのようなものをやっている。
 診療時間は、平日朝10時から12時。15時から18時まで。
 特に女性限定というわけではないのだが……なぜか近所のご婦人方の予約が多い。

 リビングを簡単に片付けていると、インターホンが鳴った。
 早速、今日の一人目の患者だ。

「先生、こんにちはー」

 穏やかな雰囲気のご婦人。
 彼女は週1回、ここへ通っている。
 俺の診断では、特にどこか悪いというわけではない。どちらかというと、他人には言えないような家庭の不満を言ったりするだけだ。医者には守秘義務があるから、言いやすいのだろう。

「こんにちは」

 お互い挨拶すると、リビングのソファに向かい合って座る。

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