偽りのトリアーダ〜義兄弟の狂愛からは逃げられない〜
「失礼します」

 タイミングを見計らって、リアちゃんがお茶を持ってきてくれた。数日一緒に住んでみてわかったが、リアちゃんの淹れてくれるお茶が、これまたうまい。同じ茶葉、同じ工程で淹れているのに。一体、何が違うと言うのだろうか。
 いつもの、気分をリラックスさせるハーブティーだ。

「あらっ、まーまー。どうもありがとう」

 そういえば、リアちゃんが患者に会うのは初めてだったな。

「先生、いつの間にこんなかわいいお嫁さんもらったの?」

「へっ? よ、嫁!?」

 って、俺の嫁さん、ってこと!?

「いや、この子は──」

 慌てて訂正しようとすると、

「ポポちゃんの奥さんでしょー!? もう、孫の顔を見る日も近いわね!」

「あっ……。あーあー! 『嫁』!」

 あーびっくりした。
 いきなりのことで勘違いしたが、本来『嫁』とは俺から見た息子の奥さんってことだ。

「ってぇ! この子はポポロムの奥さんでもない!」
 
 リアちゃんもびっくりして赤くなり、まんざらでもなさそうだったが、ここは訂正しておいた。

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