偽りのトリアーダ〜義兄弟の狂愛からは逃げられない〜
「ふー」

 湯船に浸かり、1日の疲れを癒した。

 リアちゃん、よく気が利くよなぁ……。
 ダニエルとレナーテの教育が良かったんだろうな……。
 やっぱり、あの時ダニエルに託して正解だった……。
 女の子の扱いなんて、俺じゃわからんからな……。

 実は、リアちゃんを見つけたのは俺だ。森の中で赤ん坊の泣き声が聞こえたような気がして探したら、当時0歳のリアちゃんが、布にくるまって放置されていた。戦争中は敵に見つからないように、泣くことを制御できない赤ん坊が捨てられるのはよく聞く話だ。

 保護しようとしたが、俺はその時すでにポポロムを匿っていた。それに俺は自分の性格上、女の子を育てるのは無理だとわかっていた。だから、戦友で旧友であるダニエルに相談した。ダニエルはすでに結婚していて、女の子を育てるには母親が必要だろうと思ったからだ。

 あれから20年、リアちゃんは立派に育ってくれた。
 ゴンドル族に関する書簡も、審議まで行ったみたいだし、ダニエルはよくやってくれた……。
 後は俺が引き継ぐから、おまえはあの世でゆっくり休んでくれ──

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