偽りのトリアーダ〜義兄弟の狂愛からは逃げられない〜

11・訪問

 今日は、カルステンとポポロムが学会に出かける日だった。
 朝からバタバタと準備していて、リアも玄関前で見送ることにした。
 二人ともスーツでピシッと決めている。普段は見られない姿だ。

「じゃあ、リアさん。行ってきますね」
「いってらっしゃい」

 清々しい空の下、リアは、ポポロムにカバンを手渡した。
 まるで家族になったような気分だった。

「あっ、お父様、ちょっと待ってください」

 リアはカルステンを呼び止め、振り向いたその頬に口付けする。

「うおっ!?」
「ええっ!?」
「行ってきますのキスです」

 リアは笑顔で言った。
 ポポロムの前で少し恥ずかしかったが、リアにとっては当たり前の、日常の行動だった。
 頬とはいえいきなりの口付けに、カルステンは動揺したが、なんとかリアに悟られないように平静を装った。

「お父様も」
「あ、ああ……」

 促され、カルステンはおそるおそる、ほのかに赤く染まったリアの頬に口づけした。

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