偽りのトリアーダ〜義兄弟の狂愛からは逃げられない〜
「久しぶりなので、恥ずかしいですね」
「そ、そうだな……」

(ダニエーーーール!!!!
 おまえ、なんてうらやま……けしからんことを!!!!)

 カルステンは、天に向かって叫びそうになった。

「叔父さん、ずるーい」
「ずるーい、じゃない! 心臓持たんわ!!」

(えっ、ポポロム先生も行ってきますのキスをご所望ですか!?
 さすがにそれは恥ずかしくてできません!)

 リアは、頬を押さえながら聞こえないフリをした。

 こんなことをしている場合ではないと、動悸を隠すようにカルステンは助手席のドアを開ける。

「じゃあ、リアさん。絶対に、誰が来ても開けちゃいけませんよ」

 ポポロムが釘を刺した。

「わかりました」
「ないとは思いますが……。テオさんが来てもですよ?」
「え……テオもダメなんですか?」
「ダメです」

 もう一度キッパリと、釘を刺した。
 
「以前も言いましたが、テオさんは警察に追われている身なんです。匿ったりしたら、リアさんも共犯になってしまいますからね。では、いってきます」

「いってらっしゃい……」

 二人は車に乗り込み出発した。
 リアは、寂しそうに手を振ってそれを送り出した。




< 65 / 252 >

この作品をシェア

pagetop