偽りのトリアーダ〜義兄弟の狂愛からは逃げられない〜

2・こんなことは間違っている sideリア*


「あ……あ……ぁっ……!」

 家に帰るなり、義兄は私をベッドに押し倒した。
 養父が亡くなってから義兄が求めてくるのは、私の唇だけではなかった。
 首筋に唇を這わせ、(まさぐ)るように私の身体に触れた。 
 こんな事は間違っている。
 間違っているのに……身体は反応してしまう……
 
 これは、私もいけなかったのかもしれない。
 私は……義兄に初めて求められた日、一度だけ、封印していた心を解いてしまったのだ。言葉にこそしなかったが、そっと秘めたまま気付かれないように。義兄は私を好いているわけではない。あれは一時の気の迷いだったのだと思っていた。しかしそれ以来、義兄は頻繁に私を求めるようになってしまった。

 心を解くべきではなかった。
 けれどもあの時は、憔悴しきっていた義兄を放っておけなかった……。

 あの時の一度だけと決めて、それ以降は抵抗しようとした。
 でも、抵抗すればするほど、義兄は私を険しい顔で見つめ、力強く手首を掴んで拘束された。
 身体は抵抗できない。ならば、せめて心だけは。
 心だけは、抵抗し続けようと誓った。

「友達とパンケーキか……いいご身分だな」

 低い声で、義兄が呟くように言った。

「いけませんか……? 友達は大切にするものです」

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