偽りのトリアーダ〜義兄弟の狂愛からは逃げられない〜

12・計画

「テオ、どうしたの? よくここがわかったわね」

 リアは事件のことがあっても、テオのことはやはりかわいい義弟(おとうと)だった。
 ポポロムに釘を刺されているとはいえ、無下にはできなかった。

 テオは、リアのこの態度を不思議に思った。
 あれだけ傷つけたのに、怖がられもしない。なぜ、そんなに笑っていられるのか……。

(俺が、こわくないの……?)

「姉さん、傷の具合はどう?」

 テオは、問題の核になる部分は伏せつつ、思い切って訊ねてみた。
 
「傷? 傷って、なんのこと?」

 義姉(リア)が器用に嘘をつけるタイプではないことは、テオにもわかっていた。
 本当に覚えていないのだと、テオは理解した。

(まあ、いいや。忘れてるなら、好都合だよ)

 テオは、再会のハグがしたくてウズウズしたが、なんとなくやめておいた。
 もしショックで忘れてしまったのなら、触れない方が得策だろうと考えたからだ。
 そういえば、義姉(リア)にはスマホの番号を変えられていることを思い出した。

「ねえ、姉さん。俺、スマホ忘れちゃった。兄さんと連絡取りたいから、姉さんのを貸して?」

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