偽りのトリアーダ〜義兄弟の狂愛からは逃げられない〜

13・囮捜査

「姉さん、どうしたの?」
「テオ……」

 出入口もスマホも、テオのそばにあり、リアは逃げられそうになかった。
 リアから見ても、テオは普通で、いつも通りのかわいい義弟(おとうと)だった。
 しかしなぜか、リアの中の何かが、テオを危険だと判断したのだった。
 
(だめだ。私には、どうすることもできない)

 そう思ったリアは、テオを見逃すことにした。

「ごめんなさい、テオ。今日はこのまま帰って」

 とても心が疲弊していた。
 テオを見ると、胸がザワザワして頭の中にモヤがかかったようになる。

「姉さん、どうして? 俺が、警察に追われてるから──?」

 テオの問いに対して、リアは何も言えなかった。

(ああ……もう、面倒だな……。このまま強引に──)

 テオは、焦りを感じていた。
 先ほどの兄からの電話で、確実に警察に連絡は行っているだろう。
 ならば、兄より先に警察が来ることは明白だった。
 そうなる前に、義姉(リア)と共にここを離れたかった。

 リアに手を伸ばそうとした瞬間──

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