偽りのトリアーダ〜義兄弟の狂愛からは逃げられない〜
 (アルフレッド)が、自分を捕えるためにそんな危険な賭けに出るなど、まったくの予想外だった。
 自分を捕らえた警察官は私服だった。ならば、一般人に紛れてあらかじめ周辺を警戒していたということになる。計画されていた罠だったと知ると、テオは観念した。

『よし、そのまま連行しろ。被害者へのケアも忘れるな』

 警察官のイヤホン型の無線から、別の警察官の指示がかすかに聞こえた。

「ご協力、感謝いたします!」
「えっ? 協力……? えっ?」

 私服警察官に言われたが、リアは混乱していた。
 わけがわからないまま(テオ)が捕えられてしまい、どうすればいいのかまったくわからなかった。

「詳しい話は、先生方に聞いてください。では……」
「ま、待ってください! テオは、どうなるんですか!?」

 罪を犯したのかもしれない。けれども、自分の目の前で義弟が捕えられて、さすがにリアも黙っていはいられなかった。

「とりあえずは留置所へ行きます。その後は、事件を詳しく調べてからとなります。まあ、彼の場合はおそらくすぐに拘置所になると思いますが……」

 事情を知る私服警察官は、リアを憐みの目で見て言葉を詰まらせ「では、我々はこれで」と、テオを連れて行こうとする。

「テオ……!」

「姉さん……ばいばい」

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