偽りのトリアーダ〜義兄弟の狂愛からは逃げられない〜
 リビングへ入ると、ちょうど現場検証が終わろうとしているところだった。

「お兄さんですね。ご連絡、ありがとうございました!」

 先ほどリアに声をかけた女性警察官が、アルフレッドに向かって敬礼した。

「連絡……? お兄様が警察を呼んだの……?」
「リア、実は……」

 アルフレッドが一連の説明をしようとした時、リビングの扉が力強く開けられた。
 ポポロムとカルステンが、学会を終えて帰ってきたのだ。

「リアさん、無事ですか!?」
「先生、お父様!?」
「ああ、良かった無事で……!」

 リアは、ポポロムに抱きしめられて動揺した。

「あ、あの、先生……?」
「ん、んー! ポポロム、ポポロム。アルフ君の前だぞ」

 見かねて、カルステンが咳払いをする。
 カルステンもまた、現在アルフレッドがリアに普通に触れられないことは知っていた。
 だからこそ、フェアではないという意味を込めてポポロムに忠告した。

「ああっ、す、すみません! 心配のあまり……!」
「いえ……。カルステンさん、ありがとうございました」
「いやいや。こうもうまくいくとは思ってなかった」

 三人だけが事情を知っていると感じたリアは、「どういうこと?」と首を傾げた。
< 81 / 252 >

この作品をシェア

pagetop