偽りのトリアーダ〜義兄弟の狂愛からは逃げられない〜

14・秘密裏

 話は少し前に遡る──。
 リアを預かると決まった日から、カルステンはある人物に連絡をしていた。
 警察官のディルクである。

「ああ!? 犯人逮捕に協力するから、端末を貸せだぁ!? カール、おまえ警察舐めてんのか!?」

 警察本庁の一室で、ディルクはカルステンの言葉を聞いた途端、苛立ちをあらわにした。
 部屋に染みついたタバコの匂いが、より一層場の空気を悪くさせる。

 二人は、ハイスクール時代からの旧知の仲だった。
 カルステンが現役の精神科医だった時も、職業柄ディルクと顔を合わせることは多かった。
 完全に腐れ縁である。
 
「ああ、舐めてる。一体、犯人捕まえるのにどれだけかかってるんだ?」
「相変わらず口の悪いやつだな。人に物を頼む態度か?」
「口が悪いのは、お互い様だろ」

 カルステンの言葉に、ディルクは表情を曇らせ奥歯を噛み締めた。

「……今から言うこと、オフレコにできるか」
「内容による」
「俺だって犯人は捕まえたい。でもな、襲われたのはゴンドル族なんだよ。言っている意味がわかるか?」

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