偽りのトリアーダ〜義兄弟の狂愛からは逃げられない〜
 ディルクは、立ち上がって窓の外を眺めた。
 そこから見える街並みは、平和そのものだった。とても20年前に戦争が起きていた国とは思えない。
 戦争を終わらせたのは、当時軍に所属していたダニエルの功績がとても大きかった。
 ディルクにとっても、ダニエルは尊敬できる人物だった。

「……ダニエル先輩のためか?」
「……それだけじゃない」

 ずっと頭を下げていたカルステンを見て、ディルクは頭を掻きむしった。

「ああ、クソッ。それで捕まえられなかったら、俺クビだぞ? わかってんだろうな!?」
「もしクビになったら責任は取る」
「それは遠慮しておく! おまえに責任取ってもらうとか、気色悪い!」


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