偽りのトリアーダ〜義兄弟の狂愛からは逃げられない〜
*
そして、リアとアルフレッドがこの家に来た初日──。
リアがポポロムと席を外した時、カルステンはアルフレッドと二人きりになった。
その時に、ちょうどいいとカルステンは、以前から考えていた計画をアルフレッドに話すことにした。
「何かあったら力になるから、連絡を──」
そう言いながらカルステンは、アルフレッドに二つの機器を差し出した。
ディルクから借りた端末と、盗聴受信機である。
この端末を使えば、管轄の警察官に直接連絡が行くというものだった。通常は、警察官同士が連絡を取り合うためのもので、当然一般人が持つものではない。
「これを、どうすれば……?」
「アルフ君。俺はな、テオ君に罠を仕掛けようと思う」
「罠を……?」
カルステンは、ジャケットの内ポケットから手帳を取り出して広げて見せた。
「これは、俺とポポロムの向こう半年間のスケジュールだ。これを見て、『君がテオ君ならいつリアちゃんを狙う』?」
アルフレッドは、スケジュールを確認した。
ポポロムの勤怠日、カルステンの自宅カウンセリングの予定などがびっしりと書き込まれていた。
その中に、一つだけ「学会」というものがあった。
「この、学会の日は、2人とも留守に……?」
「そうだ」
「ならば、この学会の日ですね」
「俺とポポロムも同意見だ」
頭の切れるテオならば、この場所にもいつかは辿り着くだろう。もしかしたら、もう見つかっているかもしれない。学会の日も、機密情報というわけではない。病院のスタッフに訊ねればすぐにわかることだ。
「警察には、すぐに動けるように俺から話をつけてある」
「カルステンさん……あなたは一体……?」
「なに、ちょっと警察にツテのある、元精神科医だよ」
そして、リアとアルフレッドがこの家に来た初日──。
リアがポポロムと席を外した時、カルステンはアルフレッドと二人きりになった。
その時に、ちょうどいいとカルステンは、以前から考えていた計画をアルフレッドに話すことにした。
「何かあったら力になるから、連絡を──」
そう言いながらカルステンは、アルフレッドに二つの機器を差し出した。
ディルクから借りた端末と、盗聴受信機である。
この端末を使えば、管轄の警察官に直接連絡が行くというものだった。通常は、警察官同士が連絡を取り合うためのもので、当然一般人が持つものではない。
「これを、どうすれば……?」
「アルフ君。俺はな、テオ君に罠を仕掛けようと思う」
「罠を……?」
カルステンは、ジャケットの内ポケットから手帳を取り出して広げて見せた。
「これは、俺とポポロムの向こう半年間のスケジュールだ。これを見て、『君がテオ君ならいつリアちゃんを狙う』?」
アルフレッドは、スケジュールを確認した。
ポポロムの勤怠日、カルステンの自宅カウンセリングの予定などがびっしりと書き込まれていた。
その中に、一つだけ「学会」というものがあった。
「この、学会の日は、2人とも留守に……?」
「そうだ」
「ならば、この学会の日ですね」
「俺とポポロムも同意見だ」
頭の切れるテオならば、この場所にもいつかは辿り着くだろう。もしかしたら、もう見つかっているかもしれない。学会の日も、機密情報というわけではない。病院のスタッフに訊ねればすぐにわかることだ。
「警察には、すぐに動けるように俺から話をつけてある」
「カルステンさん……あなたは一体……?」
「なに、ちょっと警察にツテのある、元精神科医だよ」