偽りのトリアーダ〜義兄弟の狂愛からは逃げられない〜
*
学会当日、アルフレッドは仕事を休んで、カルステン宅より数百メートルも離れた場所に隠れて待機していた。このくらい離れていないと、テオに見つかる可能性が高いからだ。
その手には、盗聴受信機と例の端末があった。
この距離では、すぐに駆けつけられないのが不満だったが、それは辺りを警戒している私服警察官に任せるより他なかった。
アルフレッドも、着なれないラフな服装にカツラ、と軽く変装し、念には念を入れて車もレンタカーだった。
これも、カルステンからの指示であった。
(姿が確認できないのは、不安だな……)
早朝から一人、薄暗い場所に隠れているというこの状況も、不安を増長させた。
やがて、受信機から女性二人の朗らかな会話が聞こえてきた。
それは、リアと近所のご婦人であろうことはすぐに想像でき、アルフレッドは安心する。
……本当に、テオは来るだろうか……?
そう思った時、受信機のイヤホンから再び雑音混じりの音が聞こえた。
ザザッ……
『姉さん、久しぶり──』
『テオ!?』
(本当に、来た……!?)
学会当日、アルフレッドは仕事を休んで、カルステン宅より数百メートルも離れた場所に隠れて待機していた。このくらい離れていないと、テオに見つかる可能性が高いからだ。
その手には、盗聴受信機と例の端末があった。
この距離では、すぐに駆けつけられないのが不満だったが、それは辺りを警戒している私服警察官に任せるより他なかった。
アルフレッドも、着なれないラフな服装にカツラ、と軽く変装し、念には念を入れて車もレンタカーだった。
これも、カルステンからの指示であった。
(姿が確認できないのは、不安だな……)
早朝から一人、薄暗い場所に隠れているというこの状況も、不安を増長させた。
やがて、受信機から女性二人の朗らかな会話が聞こえてきた。
それは、リアと近所のご婦人であろうことはすぐに想像でき、アルフレッドは安心する。
……本当に、テオは来るだろうか……?
そう思った時、受信機のイヤホンから再び雑音混じりの音が聞こえた。
ザザッ……
『姉さん、久しぶり──』
『テオ!?』
(本当に、来た……!?)