偽りのトリアーダ〜義兄弟の狂愛からは逃げられない〜
あまりの出来事に、私の身体は高揚していた。
しかし、このままではいけない……。
血は繋がっていないと言えど、私たちは兄妹だ。
「お兄様は……」
隣で背を向けて横たわる義兄に、私は意を決して訊くことにした。
「うん……?」
「お兄様は、なぜそんなに私に構うのですか? こんな事は間違っています……!」
反発したことにより、また何かされるのではと身構えた。
しかし、義兄は厳しい表情ながらも冷静だった。
「……聞かない方が身のためだ」
「そんな! ひどいです、お兄様! 私は、これからずっと理由もなくお兄様に抱かれ続けなければならないんですか!?」
悔しい気持ちでいっぱいになり、ついに義兄の前で涙を見せてしまった。
すると、義兄の表情がさらに厳しくなった。
「ならば、言ってやろう……。おまえが……憎いからだ…!」
「……え?」
どういう、こと……?
「おまえのせいで父は死んだ」
「私の……せい……?」
「そうだ。ゴンドル族であるおまえを庇ったせいで、父は死んだのだ!」
「そんな……っ!」
「俺は、おまえを一生恨み続ける。ボロボロになるまで……。逃げる事を許さない……!」
「おにい……さま……」
ほんの少しでも、愛情が感じられれば……などと思った私が愚かだった。
私は、何を期待していたのだろうか。
義兄の非道な告白に、目の前が真っ暗になった────。