偽りのトリアーダ〜義兄弟の狂愛からは逃げられない〜
 言いながら自分で注ごうとするので、アルフレッドが見かねて止めようとするが、

「お兄様もお兄様れす! いつまえも、私を子ろも扱いして!」
 
 リアはそんなことはお構いなしに、グラスに果実酒を注ぐ。
 甘く口当たりのいい果実酒は飲みやすいが、発泡酒と比べればアルコール度数は強めだ。

「ほら、私はもう大人らから! お酒も飲めるんれす!」

 注いだ果実酒を、ゴクゴクと喉を鳴らしながら、まるで水を飲んでいるかのように胃に納めていく。

「おいしいれす!」
「リア、いい加減に……」
「お兄様も、飲んれくらさい」
「いや、俺は車で帰らなきゃいけないし……」
「なんれ〜〜っ!! 私のお酒が飲めないれすか!!」
「わ、わ〜! リアさん、僕が代わりに飲みますから!」

 ポポロムは、アルフレッドの代わりに一杯だけリアからの酒を飲んだ。
 その様子を遠巻きに見ていたカルステンは、ため息混じりの安堵の言葉を漏らす。

「はぁ……。ま、平和になったって事か……」


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