偽りのトリアーダ〜義兄弟の狂愛からは逃げられない〜



「すみません……。リアが、あんなに絡み上戸だったとは……」

 そのままうとうとし始めたリアを置いて、アルフレッドが帰る時間になった。
 側にいてやりたい気持ちはあったが、今日1日、テオを捕まえるために仕事を休んでしまったので、それもできなかった。

「リアちゃんも、相当ストレス溜まってたんだろうなぁ……」

 カルステンは、リアを不憫に思っていた。
 かわいがっていた義弟が罪を犯し、ましてや目の前で逮捕されるなど、想像を超えていただろう。しかしここで捕えなければ、事件はもっと長引いていたに違いない。
 自分の判断は間違っていない──。
 カルステンは、心の中でそう言い聞かせていた。

「心配ですが……。後はよろしくお願いします……」
「はい。アルフさんも、お気をつけて」

 ポポロムとカルステンは、アルフレッドの車が遠くなるまで見送った。


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