私達離婚しましょう~形だけの妻なのに離婚を申し出たら逆に溺愛されてます~
夫と夕食の買い物。

そんな日が来るなんて、思っていなかった。

スーパーについて、夫はカゴを持ってくれる。

そういう優しいところ、変わっていない。


「あら、白木先生じゃないですか。」

ご年配の女性が、夫に近づいて来た。

「ああ、お元気そうですね。」

「先生のお陰です。先生がね、あの時手術してくれなかったら、私はもう死んでましたよ。」

そう言って、年配の女性は夫と握手をした。

「こちらは?先生の奥様?」

私は笑顔で頭を下げた。

「あなた、いい方と結婚したわよ。先生はね、患者さんの誇りよ。」

「ありがとうございます。」

そうお礼を言うと、年配の女性は行ってしまった。


「患者さん?」

「ああ。夜中にね、救急で運ばれて来たんだ。救急の先生が手空いてなくて、代わりに俺がオペしたんだ。」
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