私達離婚しましょう~形だけの妻なのに離婚を申し出たら逆に溺愛されてます~
それだけ。でも、それだけじゃない。

「夫婦生活だって、順調にいってるわ。」

「セックスしてるって事?」

「そうよ。」

私は、夫に抱かれている。女として求められている。愛されている。

「なんだ。その程度で、一緒にいようと思うんだ。」

勇気君は鼻で笑うと、身を乗り出して運転席のシートを後ろに倒した。

「何するの⁉」

「セックスぐらいで一緒にいられるなら、俺だってしてあげるよ。」

急に勇気君の舌が、私の首を這う。

「やだっ!止めて!」

「こっちはずっと、我慢してきたんだよ!」

勇気君の大きな声に、身体が硬直する。

「何度も何度も、電話して誘おうと思ったよ。でも、できなかった。身体を奪いたいんじゃない!心が欲しいんだって!」

勇気君の目が、涙で濡れていた。
< 24 / 39 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop