私達離婚しましょう~形だけの妻なのに離婚を申し出たら逆に溺愛されてます~
何とも言えないモヤモヤした気持ちを抱えながら、私は車に戻った。

車の運転席には、まだ勇気君がいた。

私は助手席に乗り込み、シートベルトを締めた。

「ほのかさん?」

「さっさと車出して。」

「どこに行くんですか?」

「どこでもいいわ。」

私が投げやりに言うと、勇気君はシートベルトを締め、車を走らせた。


車を運転する勇気君を他所目に、私は流れる景色を何気なく見ていた。

浮気していた夫。

どこかでそんな事もあるだろうと、想像はしていたけれど。

いざ、現実になると心が痛い。


「はい、着きましたよ。」

ハッとして周りを見ると、そこはラブホテルの駐車場だった。

「えっ、待って。」

「もう待てないから。」

勇気君が私に、顔を近づけた時だ。

運転席のドアが、ドンドンと叩かれた。
< 28 / 39 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop